Google時代における「リンク集」の存在意義
私はある趣味に関するホームページを作ってるのですが、その分野の「リンク集」をホームページに置くべきかどうかで迷いました。ホームページ探しはGoogleなどでできるのだからリンク集など使われないのではないかと思ったのです。
10~20年前はホームページ、特に個人ホームページには必ず「リンク集」があり、割と利用していたものです。また、その頃は今のようなロボットの登録による検索エンジンは少なく、Yahoo!を代表とする手動登録のディレクトリ型の検索エンジンが主流でした。こういったディレクトリ型の検索エンジンも、大規模なリンク集と言っていいでしょう。
ですが最近は個人ページのリンク集もディレクトリ型の検索エンジンもあまり見かけなくなりました。作られてはいるのかもしれませんが、利用することは確実に減っていると思います。この主な原因がグーグルを代表とするロボット型検索エンジンの台頭によることは誰もが認めるところでしょう。
では現在は旧態依然とした「リンク集」の存在意義は無いのでしょうか? この記事ではその問題について考えたいと思います。
Googleの優れた点
リンク集もGoogleなどのロボット型検索エンジンもその役目は利用者を目的のページに案内することであり、道案内がそれらの役割だということができます。道案内としての優劣を決めるのは次のようなものでしょう。
- 目的のページにたどり着く早さ
- リンク先の質の高さ
- 網羅性
- 情報の鮮度
それぞさの項目についてリンク集とGoogleを比較してみます。
目的のページにたどり着く早さ
例えばある本を買う場合を考えてみましょう。リンク集を活用する場合は、そのリンク集から書店のサイトにアクセスし、そこから検索なり特定のカテゴリのページを開いていくなどして目的の本のページに行きます。Googleが登場する前はこのような方法が普通でした。
しかし現在ではブラウザの検索ボックスに本のタイトルを入力すれば一発でその本のサイトが表示されます。
ものを買う場合以外でも、Googleなどを利用した方が早い場合がほとんどでしょう。
このように目的のページにたどり着く早さはGoogleなどの圧勝です。
リンク先の質の高さ
リンク集は人手によって作られているため、制作者によってリンク先の質の確保がされていることが多いです。
これはリンク集の大きなメリットのようですが、Googleもアルゴリズムによって質の高いリンク先を上位表示させるようになっており、みなさん実感していると思いますが、実際質の高いサイトが上位表示されています。この上位表示のアルゴリズムは私の実感ではリンク集に勝るとも劣らない精度だと思います。
また、リンク集は制作者に信頼が置けない場合にリンク先の質の高さが疑わしいことがありますが、Googleなどの場合は一意のアルゴリズムで決定されているため常に質の高いサイトが上位表示されます。
リンク先の質の高さにおいてもグーグルが一歩勝っていると言えるでしょう。
網羅性
網羅性とは有益なホームページが漏れることなくリストアップされているかどうかということです。
もちろん単純な数においてはGoogleが圧倒的ですが、有益なホームページの漏れがあるかという点においてもGoogleはかなり優秀です。Googleはアルゴリズムで決定された有益なホームページから順に表示するという方法をとっているため、上位から見ていく限りより有益なサイトを見落とすことはありません。
リンク集は人手の登録のため有益なページが漏れている可能性はどうしても存在します。漏れていなくても漏れているのではないかという心配はぬぐえません。実際に網羅性があり、作者に信頼性のあるリンク集ならそういった問題はありませんが、この広大で変化の速いインターネットで網羅性を維持するのは難しいでしょう。
基本的には網羅性においてもGoogleなどがリンク集より優れているといえます。
Googleの欠点
ではリンク集に存在意義はないかというと、そうでもないように思えます。
Googleの検索結果はアルゴリズムによって作られたものです。機械は人の気持ちを読むことができません。それに対してリンク集は利用者の気持ちを考えて作成することができます。その結果、リンク集では利用者の求めるページを示せるが、Googleではそれができないといったケースがでてきます。
つまり、Googleが検索結果を決めるための判断材料は基本的に利用者の入力したキーワードしかありません。もちろんそのキーワードを含むサイトだけでなく、関連の深いサイトを表示するということをGoogleはやっているわけですが、それでも利用者がキーワードを入力した際に求めているものを完全に把握することは不可能だということです。
具体例を挙げてみましょう。例えば私が料理が苦手で、キャベツの千切りがうまくいかなくて困っていたとします。そこで私は「キャベツ 千切り 方法」で検索します。すると包丁でキャベツの千切りの方法を解説したサイトのリストが現れるわけですが、そこに私にとって最も有益な情報は含まれていません。なぜかというと当面の問題のベストな解決方は「ピーラーを使う」ことだったからです。
この点もし気の利いた料理情報リンク集の制作者ならば「キャベツの千切り方法のリンク集」を作る際に「このページを見る人にピーラーの使い方を教えてあげたら役に立つだろう」と考え、そのリンク集にピーラー情報を追加するということは大いにあり得ます。もしそうなっていれば、私はGoogleを使うよりそのサイトから情報を探した方がよかったわけです。
また、例えば私がパソコンで作曲をしようと考え、パソコンに繋ぐ楽器のキーボードの情報を得ようと「パソコン キーボード」で検索したとします。もちろん文字を入力する方のキーボードばっかり出てきて、「パソコン 楽器 キーボード」で検索するなど四苦八苦するわけですが、もし私が作曲情報のホームページにアクセスして、キーボード情報のリンク集を見たならこのような問題は起きません。
こういったケースは誰もが経験していると思います。
結局グーグルに見えるのは検索ワードだけのため、それ以外の利用者の情報はそれがいくら傍目に自明なことであっても考慮に入れることができないわけです。例の中で示したようにリンク集はそれができるわけで、この点ではリンク集の方が優れているといえます。